![]() 2009.08.30 Sunday
「こころを聞く」
本の画像なしですみません。
「こころを聞く〜カウンセリング入門」崎尾映子著 大修館書店 十数年前に友人に薦められて買った本です。 一度読んではいましたが 今回、本の整理をしていて「これぞ神の導き!」と思えるタイミングで出てきました。 とっても専門的な本なので、ちょっと読みにくいのですが この崎尾さんと言う方は、私もとっても好きなカウンセラーの一人なのです。 読んでいてあまりに素晴らしいことが書いてあるので 付箋だらけになってしまったので、重要な点をノートに書き写してみました。 その中からいくつかを抜粋します。 *われわれが日々起こる出来事を通過するときに 「自分はこのことをどう感じているか」を どれほどに意識に上らせていないか!は驚くほどである。 *治療とは、それまでの人生で「おまえは○○な人間だ!」 (この○○は卑怯だ、だらしない、気の弱い、冷酷な、他人の迷惑を考えない、何をやっても駄目な、など、ありとあらゆる否定的な形容詞が入るうる)と自分を定義し、 枠組みにはめてきた「自分像」にきづき その枠組みを解き放っていこうとする試みである。 *われわれの普段の生活において どれほどに自分のトラウマに触れないようにしているかは 想像を絶するほどである。 *人間は感覚器官だらけの存在であり 感じないでいることはできない。 *しかし大部分の人は自分の否定的な感情を 感じてはいけない!というメッセージのもとに 育てられるので、自分が本当はどう感じているのかを 掴むのは容易ではない。 *そして「感じないでいる」ための方策のひとつで しばしば非常に有効なのは 「気を散らす」ことである。 一見、前向きな解決法を考える・・・ということでさえ この「気を散らす」=「辛い感覚から逃げる」ということであることが多い。 *親が子どもに「自分の感覚を感じてもよいのだ」という 許可をどれほどに与えられないでいるか!いくら強調してもしすぎることはない。 *自分は「悲しい」のか「怒っている」のか「辛い」のか「痛い」のか 「苦しい」のかを、親に伝えても それを共感してくれる親は殆どいない。 それはその親達もそのまた親達も それらを自分が感じることを自分達に禁じたところで 頑張って生きてきたからである。 「グダグダ言ってないで、前向きに生きなさい!」という メッセージは代々受け継がれてきて 敗戦によってそれは頂点に達したが 高度経済成長で「気を散らし」ながら生きてきた人たちが 今、自分の足元に無数に散らばる 様々な、辛さ、怖さ、寂しさ、悲しさが この世の中に充満しているようだ。 *自分の悲しみを「ただ傾聴してもらうなかで気持ちを洗い流した経験ながない」親達は、子どもの悲しみを「分かってやれない」 *「悲しい自分」も「辛い自分」も「ふがいない自分」も すべてが自分の一部である。 マイナスの自分は自分であってはいけない!とすると 自分が分断されてしまい 分断された「自己」がつながらないと確実に「うつ」を深めていく。 *沢山ある自分自身の側面を 肯定的な部分も否定的な部分も 全てをひっくるめて統合された自分になることが 「こころが癒える」ということである。 今の風潮として「何でも肯定的(ポジティブ・シンキング)にとらえる」とよいことがある・・・というのがありますが それは、否定的(ネガティブ)なものを 忘れ去るということではいけないのですね。 「悲しいときには悲しみに浸る」「苦しいときには苦しみに浸る」 という作業をしないと それは無意識の領域に押し込められてしまって 普段は忘れ去られているけど ちょっとしたきっかけがあると 倍になって顔を出すことがあります。 せめて親は子どものマイナス感情を ただ聞いて、ただただ聞いてあげる作業をして欲しいと思います。 「そうなんだ・・・そう感じることあるよね・・・」その言葉だけで どれだけ子どもは救われるでしょうか。 ![]() |